ご支援事例 国立研究開発法人科学技術振興機構様

既存帳票の洗い出しを含めたデータマネジメント調査を依頼
  • 活動内容:未来を共創する研究開発戦略の立案・提言
    知の創造と経済・社会的価値への転換
    未来共創の推進と未来を創る人材の育成
  • 常勤職員数:1,246名(2017年4月1日現在)

データマネジメントに関する事前調査と提案を依頼

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国立研究開発法人
科学技術振興機構
研究開発改革推進部
調査役 黒沢 努氏

国立研究開発法人科学技術振興機構(以下、JST)では、ファンディング(研究資金配分)において多数の帳票等から生まれる業務データのデータマネジメントに関する調査をリアライズに依頼。次年度以降には、モデルケースの実施も検討している。その経緯とねらいについて詳しく伺った。

(国立研究開発法人科学技術振興機構について)

国の科学技術基本計画の推進における中核的な役割を担う国立研究開発法人として、戦略の立案、研究開発の推進をはじめ、科学技術イノベーションの推進に関わる幅広い事業を展開。激変する時代の潮流や対処すべき社会的課題を的確に捉え、高度な戦略性に基づき世界トップレベルの研究開発を行うネットワーク型研究所として、未来共創イノベーションを先導し、国が掲げる目指す社会像「Society5.0」の実現に貢献する。

― リアライズに依頼した業務について教えてください。

JSTでは、その前身となるJRDC(新技術開発事業団)の設立以来、50年以上にわたり基礎研究や産業化を通じてイノベーションを創出するためのファンディング事業を運営してきました。

2013年に、その2万件以上におよぶ研究課題情報を整理・体系化した「JSTファンディングマネジメントデータベース(Funding Management DataBase。以下、 FMDB)」を開発、運用を開始しました。

今回リアライズには、このFMDBと連携して、ファンディング事業において管理している申請書や計画書、報告書といった業務データを、一元管理するためのデータマネジメントに関する調査と提案を依頼しました。

具体的には、のべ50人におよぶ担当者へのアンケート調査やヒアリングを通じて、取り扱っている情報の詳細を把握・分析してもらい、次のような提案を受けました。

  • データ流の全体感と配置についての提案
  • コミュニケーションロスを防ぎ、共通認識を醸造するためのライブラリ管理の取り入れ
  • 重複作業を省き、作業負荷を軽減するためのMDM(マスターデータ管理)の取り入れ
  • データの利用目的から入力データの責任を明確にするためのMDMの取り入れ
  • 業務知見に委ねられていた部分の工程に関する改善提案
  • 将来構想におけるデータ活用のイメージと検討事項
  • データの流れを整流化し、データ品質の向上を目的とした業務フロー案の提案
  • データガバナンスの強化に向けての提案
  • 業務用データ一元化の実装・運用開始に向けての工程案
  • 分析システムとしてのFMDBの理想像の提案

― 調査期間について教えてください。

調査やその準備を含め、約3か月間で報告書をまとめていただきました。仕様の調整等に時間がかかってしまい、正式に調査を依頼するタイミングが遅くなってしまいましたが、リアライズや機構内の関係各部署の協力により、短期間で実施することができました。

研究開発マネジメントに必要な情報を活用できる環境の整備を目指す

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国立研究開発法人
科学技術振興機構
情報企画部 情報分析室
解析基盤・活用推進担当
副調査役 伊達 雅巳氏

― 今回の調査に基づいて、具体的なシステム化やデータベース化の目処は立っているのでしょうか。

今回の調査は、既存の膨大な業務データをデータベース化・一元管理する意義があるのか、FMDBと既存業務データとの連携は有効なのか、どこまでの項目をデータベース化すれば良いのか、その具体的な検討を開始するための基礎的な調査となります。

来年度に向けてパイロットケースの実施は計画していますが、それより先の具体的なシステム化やデータベース化などの見込みは、これから検討をしていくこととなります。

― 業務データを一元管理するねらいを教えてください。

現在JSTには、研究開発戦略立案部門、基礎研究部門、産学連携部門、国際部門、情報部門、科学コミュニケーション部門などがあります。これまで必要な情報は各部門が独自に整備・管理してきたため、JSTの基礎研究や産学連携につながるような事例調査を横断的に行うことはできませんでした。仮に一つの研究テーマにおいて情報を収集・分析するにしても、手作業による膨大な手間と時間が必要でした。

一方、近年、限られた資金でその成果を最大化するために、「研究成果論文や特許といった研究成果が、ファンディングとどのような関係にあるのか」。また、「国全体の研究開発やイノベーション創出に、どのように寄与してきたのか」といった情報を包括的に把握・提供することが求められるようになりました。そのため、異なるミッションを持つさまざまな部署が一つの情報基盤を軸に有機的につながり、各事業の管理・運営・評価に利用していくことを目指してFMDBを構築しました。

しかし、FMDBは「研究成果」に関する情報を主体として構築しているため、研究成果をJSTの業務とひも付けて評価・分析したり、より大きな成果を上げるためのマネジメント体制や業務体系の高度化を図る道筋を探ったりすることはできませんでした。

そのため、業務データを連携、もしくは取り込むことで、ファンディングマネジメントにもFMDBを活用することを考え、業務データのデータマネジメントに関する調査を開始しました。より正確に言えば、FMDBをファンディングマネジメントに活用するというのは当初からのねらいの一つでもありました。しかし、業務データの取り込みは容易ではなく、どのように取り込んでいくか道筋が見えなかったため、今回の調査を通じて、その可能性や有用性を検討することとしました。

最終的には、JST職員が研究開発マネジメントに必要な情報をタイムリーに入手でき活用できる環境の整備が目指すところとなります。

― 業務データは、なぜ、取り込むことが難しいのでしょうか。

業務データは数や種類が膨大で、部署や研究テーマごとに内容も異なり、似たような業務や項目でもローカルルールが数多く存在します。

データの種類や形式も、Microsoft Excelなどのスプレッドシート形式をはじめ、Microsoft Wordなどの文章形式、PDFデータ、そして、紙によるドキュメントなど、複数形式の非定型データを取り扱う必要もあれば、契約や経理などのシステムや業務システム単位で管理されている情報もあります。

そのため、そもそも業務データの適正な一元管理が可能なのか、FMDBとの連携が可能なのか、実際にどのように実現していけばいいのかを、私たちだけで判断するのは容易ではありませんでした。

データマネジメントの専門家としての経験やノウハウを評価

― リアライズに調査を依頼した経緯と理由を教えてください。

データマネジメントの調査段階から経験豊富なデータマネジメントの専門家に依頼をすることで、短期間で効率的に調査を実施すると同時に、確度の高い実現方法を探りたいと考えました。また、できるだけ標準的かつ汎用的な技術や手法を用いることで、システムの陳腐化を防ぎ、外部システムとの連携やデータ互換性を図るためにも、調査の段階から専門家の知見を活用するのが最善策だと判断しました。

そのため、依頼先を決める際、データマネジメントに関するコンサルティング経験はもちろん、「推進系、支援系、分析系のデータ項目の関係性のマッピング」や「データガバナンス及び運用ルール」といった提案をしてもらえることなどを審査基準として、総合評価方式で依頼する企業を選定しました。

リアライズを選定した審査内容の詳細については紹介できませんが、提案やプレゼンを見て、データマネジメントの分野における経験が豊富なことが理解できました。また、具体的な手法を示しながらデータの流れを管理する方法を示してくれました。

プロジェクトを推進するための方針と方向性を確認

― 今回の調査による成果や効果について教えてください。

定量的な成果が出ているわけではありませんが、何を、どういう手順で進めれば、どのような成果につながる可能性が高いのかという点に関して整理ができ、モデルケースの実施につながる方針や方向性を見出すことができました。

また、今回の調査が他部署の業務や取り扱いデータを知るきっかけとなり、業務データを一元化するメリットに理解を示す声も一部から聞かれるなど、マインドの変化の兆しが見えたことも成果の一つだと捉えています。

リアライズへの要望と期待

― 調査の実施時に、苦労したことなどはありましたか。

苦労ということではありませんが、実際にヒアリングすると事前のアンケート調査と内容が異なっていたり、より詳細な情報を管理していることがわかったりするケースも少なくありませんでした。リアライズは、そのような場合でも、データマネジメントの専門家としてスマートかつ、時には泥臭く対応してくれましたのでとても助かりました。

― リアライズへの要望や期待があればお聞かせください。

実際に現場の数多くの担当者にヒアリングをするという作業の負担や時間的な制約を考えると、短期間で優れた調査・提案を実施してもらえた点にとても満足しています。

また、JSTの業務やファンディング事業に対する理解もスムーズで、わからないことがあれば手軽に相談できたので、安心して調査業務を進めることができ感謝しています。

今後も、専門家としての新たな提案やサポートに期待しています。

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